関東三大弁天 布施弁天
柏市北部のあけぼの山公園に隣接して、紅龍山布施弁天東海寺と称する弁天様が在る。

楼門(千葉県指定有形文化財)
開山は西暦807年と云う。
19世紀初頭、赤松宗旦が著した「利根川図志」に依れば、807年、湖上に紅龍が現れ、島を造った。その島の洞に三寸余りの尊像を見つけたので、祠を建てて祀った。その頃弘法大師が立ち寄り、その山を紅龍と名付け、地域を布施と称した。大師の帰洛後、時の嵯峨天皇に仔細をお伝えしたところ、天皇はいたく感動され、823年、田畑を寄付され、堂塔伽藍を建立、更に勅願所(天皇が天災地変や疫病流行などを祈願せしめられた寺社)に指定された。

本堂(千葉県指定有形文化財)

鐘楼(千葉県指定有形文化財)と三重塔
布施弁天のホームページに依れば、弘法大師空海の御作と云われる弁財天像をご本尊(秘仏)として開山されたことになっている。なお、本堂の向拝の回柱に菊の御紋があるのは嵯峨天皇に由来する。

12年に一度のご開帳
布施弁天は、浅草寺弁天山(浅草寺弁天堂)、江の島神社弁天堂と共に関東三大弁天のひとつに数えられ、地名から布施弁天と称されている。
弁財天(弁天)はインドの神話に出てくる河川神を神格化した女神のことで、この神は人の穢れを払い、富・名誉・福徳・食物を与え、勇気と子孫とを恵むとされる。
本堂は天災、戦乱などで興廃を繰り返した後、予てから本尊を篤信していた領主の本多豊前守が諸大名から寄進を求め、享保2年(1717年)に現在の建物を完成した。
布施弁天の直ぐ近くに、江戸時代の物流の拠点の一つ、「布施河岸」が在り、また、利根川を渡る「七里が渡し」が在ったことから 布施弁天は大いに賑わった。彼の小林一茶は何回も立ち寄っている。
未訪の方は、多くのご利益ある布施弁天へ是非ご参拝頂きたいものである。
記:向山 嘉幸