手賀沼のかっぱ

手賀沼の湖内、水の館の向かいに河童のモニュメントがあるのを知っていますか?湖に浮かぶ輪の上で4体の河童がさまざまなポーズをしています。河童の名前は、「あれぇ?」「それーっ!!」「おやっ?」「ほぉーっ!」(どれがどれか不明ですが・・・)

この河童像は、平成8年に千葉県が設置しました。ちなみに平成8年の手賀沼のCOD(※)は年間平均値で24mg/L、日本で一番汚い湖として悪名を流していました。

COD「化学的酸素要求量」は、水中の有機物を酸化剤で酸化する際に消費される酸素量を言う。湖や海の汚濁状況を把握するための指標で、手賀沼には、水産・工業用水・農業用水に利用するための水質の目標として、COD5mg/Lの環境基準が設定されている。

千葉県水質保全課は、「手賀沼を昔のように泳げる湖にしたい!」という悲願のもと、様々な浄化対策を計画・実施していましたが、湖の底に溜まった汚泥の浚渫や下水道の整備など地道な事業が多く、一般にはなかなかアピールしにくいことから、目に見える形での水質浄化のシンボルとして噴水を設置したのです。

当時の手賀沼は夏はアオコが発生して水面は緑に染まり、湖水が服についたら洗濯してもなかなか臭いが取れないなど酷い汚濁状況でしたから、噴水の設置には「手賀沼の水が飛沫となって人の口に入らないか」とか「臭いが拡散しないか」などの反対意見もありましたが、噴き上げる水は湖水ではなく浄化水を使うということで解決したような記憶があります。(当時、私は県から委託されたコンサルタント会社の一員として、手賀沼の浄化に携わっていました。)

河童像の作者は馬場ゆう子さん、渋谷駅の初代忠犬ハチ公像作者安藤照氏の孫であり二代目忠犬ハチ公像作者安藤士氏の娘さんです。FRPの軽い素材で作られています。

設置当時、「水の館」には以下のような解説が掲げられていました。

こんにちは、わたしたちはずっと昔、手賀沼にすんでいたかっぱです。わたしたちは、きれいな水が大好き。
きれいな水の中でしか生きることができません。
近頃、悲しいことに手賀沼の水も汚れてしまって、ここにはすめなくなってしまいました。
魚たちや木や草、それに人間だってきれいな水が大好きだよね。
この噴水は、手賀沼の水質浄化の「シンボル」です。わたしたちもみんなといっしょに、この手賀沼をきれいにしていこうと思います。だからみんなも手賀沼の水質浄化に協力してください。
わたしたちからのお願いです。
(千葉県手賀沼親水広場・水の館の説明文より)

30分〜1時間に1回、さまざまな形態の噴水を噴き上げていて、新しく架けられた手賀沼大橋を背景に観光客を楽しませていました。私も噴水が上がる時間を待っていたことがあります。

直上噴水

白鳥

稲穂

※噴水の写真は、写真集手賀沼よりお借りしました。

今は噴水としての運用をやめてしまい、河童たちのお皿は乾きっぱなしでかわいそうですが、水の館の展望台から一望できます。

記:中村恭子