柏市と相撲

千葉県柏市は、知る人ぞ知る「相撲の街」です。2024年3月大相撲春場所の番付表を見ると、柏市で生まれ育った関取(十両以上の力士)が二人も居ます。一人は隆の勝(前頭西三枚目、常盤山部屋)二人目は琴勝峰(前頭西九枚目、佐渡ケ嶽部屋)。人口40万人の中核都市から関取が二人も出ているということは、東京・大阪という大都会を除いて稀有なことです。(注・三人目候補として琴勝峰の弟、琴手計が幕下東六枚目におり春場所の成績次第では十両に上がれる位置に居ます) なぜ柏市が「相撲の街」と呼ばれる程、関取を搬出しているのでしょうか。今回はその点を探索してみます。

柏市には、放課後大きな体を学生服に包んだ少年たちがやってくる建物があります。そこは柏市中央体育館の敷地内にある相撲道場です。神明造りの屋根の下、将来相撲取りを目指す少年達が集まってきます。この建物は、柏市が青少年の育成を目的に建てたもので、それには柏市出身の元関脇麒麟児(柏市民特別功労者賞受賞)が深くかかわったと聞いております。この相撲道場「柏相撲少年団」を仕切っているのが、代表の永井明慶さんです。

永井明慶さんは、自宅を寮にして力士志望の中学生を十人ほど預り育てています。基礎訓練をみっちり行ってからの猛練習ですから彼らの将来が楽しみです。初場所後、大関昇進を決めた琴ノ若(出身松戸市・佐渡ケ嶽部屋)は、この柏相撲少年団の卒団員です。

2021年、柏市に力士を目指す子供たちを応援する「柏市相撲プロジェクト」と銘打って町ぐるみが応援する「柏力会」ができました。具体的な行動として、年二回の大会があります。一つは、ゴールデンウィークに開催される「わんぱく相撲柏場所」これは柏市の幼児と小学生を対象としたトーナメント戦です。もう一つはクリスマスの時期に開催される中学生を対象にした「柏力杯」です。これは対象を全国にしていますから、北から南のツワモノ中学生がやってきます。昨年は300人の応募があり、リーグ戦でしのぎを削りました。まだ三回目ですが、将来相撲界を代表とするワンパク相撲大会になるでしょう。「柏力会」は大会とは別に、柏出身及び関係する力士の宣伝に取り組んでおり、お陰で幕下以下の力士の認知度が徐々に上がっています。このような活動が、柏市民に喜びと感動を、そして子供たちに夢を与えて、柏市民の活性化に役立っています。

 
 
現在柏市出身及び柏市に関係する関取・力士は14人居ます。

次にこの人たちを紹介します。番付は2024年春場所。番付順に列挙、項目は「四股名」「番付」「出身地」「卒業校」の順です。

豊昇龍 大関 モンゴル 日体大柏高卒
琴ノ若 大関 松戸市 少年団卒
隆の勝 前頭 柏市 栗原中卒・少年団卒
琴勝峰 前頭 柏市 松葉中卒・少年団卒
大翔鵬 十両 モンゴル 豊四季中卒
琴手計 幕下 柏市 少年団卒
木竜皇 幕下 東京都 柏第二中卒
峰刃 幕下 埼玉県 日体大柏高卒
春雷 幕下 東京都 柏第二中卒
雷鵬 三段目 静岡県 日体大柏高卒
荒雄山 三段目 東京都 日体大柏高卒
伊藤 三段目 埼玉県 柏第二中卒
柏王丸 序二段 柏市 柏第五中卒
藤武蔵 序二段 埼玉県 少年団卒

大関豊昇龍は、日本で初めて暮らしたのが柏市で、高校時代の三年間を柏市に居ました。
彼にとって柏市は、第二の故郷です。2017年柏市国際交流センターが主催した「第一回柏市在住外国人による日本語スピーチコンテスト」に出場しました。残念ながら入賞になりませんでしたが、よい思い出になっていることと思います。2023年名古屋場所後大関に昇進した時、故郷に報告ということで柏市役所を訪れ太田市長に優勝と大関昇進を報告しました。

以上から、柏が「相撲の街」であることがお判りいただけたと思います。大相撲が始まると柏市民の多くは、ひいき力士の勝敗に一喜一憂して楽しんでおります。そして柏から横綱の誕生を夢見て、大相撲を応援しています。

記:永見 忠士

(※本記事は、東葛川柳会・柳誌『ぬかる道』2024年4月号
に掲載された記事を東葛川柳会 の許可を頂いて転載しています。)