冬季句会 講評
今回も多くの佳句が寄せられました。選び難い中から下記を選びました。
天 1句
クレーン車のポツンと一基枯野原 加行
広い寂しい野原に、力強いクレーン車一基。静けさと共にとこれからの躍動、変化が予兆される。
大景が見える。
地 2句
三日月の冴えたる鎌にて秋思刈る 晃子
多すぎた昨秋のもろもろの思いを、ざくざくと刈ってしまいたいなあ、、。皆の思いですねえ。
鋭鎌の月を見ながら、そう思った、、、。句に仕立てた踏み込みが素晴らしい。「冴へし」として、中7にしては如何ですか。
凩や関東平野といふところ 清明
これも荒涼たる関東平野の大景。凩は、そこで何を見たのか、感じたのか、、。昔も、今も。
読まれた皆さんは、何を感じ何を想起されたのか、、。この問いかけの大きく、懐のひろいこと、、、。
絵でいえば、抽象絵画の面白さ。
人 4句
冬至粥コロナが変へる現代史 雅子
温かく😋おいしい冬至粥と、峻烈なコロナの対比。現代史さえも変えるのではないかという大局観。今でしか詠めない句ですね。
痩せ熊のうろつく畑もまた痩せて 康文
壮絶な悲しい光景。これもまた、進化したといわれる現代の一面か。身のすくむ思いと、身を正さねば、、
という思いが、錯綜します。
歳を負ひコロナ負ふても冬帽子 土筆
歳にもコロナにも、冬の寒さにも負けぬこの活力!!見習わねばなりません。さあ、散歩に出よう。
網棚の手編みの帽子どこへ行く 桂子
あの帽子、どこへ行くのかなあ。こんな時だからこそ、行く先を定めぬ旅に出てみたいですねえ。
これこそ旅のだいご味か<寅さんが羨ましい>
どうか皆様、家居を利用して、身の回りや庭の片隅の事どもを句にして見てください。良き記録となるでしょう。
講評:宇佐見房司