柏稲俳句会 令和四年度冬・新年句会

柏稲俳句会冬・新年句会講評

天  田作りの一尾は魚を崩さざる     清明

新年、その数の多さも含めて新春を寿ぐ「田作り」。中に尾をピンと張り形を崩さない一尾が・・・。今年もあの「気合」を大事にしたいもの。

地  ひととせを振り返りつつ蜜柑食む   晃子

去り行く一年を振り返りながら、ゆったりと蜜柑を食べるこんな一時がとても貴重です。

人  妻解きをる亡母のセーターらし    加行

暮の一日の昼下がり、奥さんがセーターを解いているのを見て母を思い出しふと浮かんだ心温まる一句。

他にもこんな佳句がありましたねえ。

 年の瀬はミカンの山と孫の笑み    等閑人 
 朝焼けの狭き中州に鴨が二羽     ら行
 静寂の音に聴き入る夜寒かな     晃子

私もこんな句を作ってみました。

 もてなしの椀に公魚冬ざるる     
 枯れ色のバッタ枯草の中に消ゆ    

宇佐見房司